お受験準備マニュアル
6.お稽古パターンの実際 女子
お稽古方針決定の参考となるので、モデルパターンを見てみましょう。
すべてコネなし、長子を想定しています。
(このサイトで使う「お稽古」なる言葉は、教育の外注を意味しています。家庭学習は別途必要です)
■A子ちゃんの場合
「女子で第一志望が幼稚舎。学習院、立教女学院、成城など大学附属・準附属系が第2志望。なので女子には珍しく1日はすべり止めDAY。青学はたぶん無理だから、すべり止めにはならないとわかっていながらも、定員が多い=たぶんフリー枠も多い気がする聖心と、のびのび&給食だけど日曜に教会通いが必要となる英和でお悩み中。まあ、とりあえず願書は両方出して、面接の感触と呼び出し時間がわかってから受ける学校は決めるつもり。併願可能なので、遠いけど成蹊も願書だけは出す予定。あっ、女学館ももちろん出願します」
青学・聖心・英和・豊明・成蹊・田雙は現状では例年11月1日に試験が行われています。年度や条件によっては幼稚舎・学習院・早実もかぶってしまう場合も。99.9%重ならないと言えるのは、隣接する中高の文化祭が11月3日前後に行われる立教女学院、そして1日はAOの試験日となる女学館の一般くらいでしょうか。ちなみに成蹊は女子は例年午後です、今のところ。
時間も手間も費用も、最もかかる併願パターンです。
幼稚舎の考査は行動観察系に分類され、ハイレベル(ものすごくできないと合格しないというわけではないようですが)の運動能力&絵工作、集団制作の準備が求められます。
学習院・成城は基本的な知育と基本的な体操&絵工作の準備が必要です。さらに先生と個別でのやりとりがあるため、個別という形態への慣れが必要となってきます。
立教女学院はペーパー難関校ですし、聖心・英和もペーパーがありますから、ペーパーのほとんど全領域をおさえておく必要があります。また女の子らしい立ち振る舞いが求められます。
また聖心を受ける可能性があるとすると、15分間程度は体操座りや正座で形を崩さず黙っている訓練もしておく必要があります。
つまりこれらの学校を併願するとなると、お受験準備で必要な事柄をすべて身に着けなくてはいけない、ということになります。
先生のお話を聞いてきちんと受け答えする、その通り行動できる、お友達と仲良く遊べる(行動観察)、紐通しなど手先の作業が年齢相応にできる(巧緻性)といったことは、どの学校も共通の必須事項です。ちなみに幼稚舎と立教女学院の対策で成蹊、幼稚舎と学習院の対策で成城はカバーが可能です。
女学館の一般試験特有の試験としては母子遊び(制作?)なるものがありますが、良好な母娘関係が築けていれば特に対策をしなくてもまず問題ないでしょう。
A子ちゃんは新年少から体操教室(週1)に通い出しました。絵工作も短期間では身につきませんから、年少時から近所のアトリエ(週1)へ通うことに。1歳の頃からお願いしていた幼稚舎に強い個人の先生には新年中から。ペーパー対策の為に新年長から大手にそれぞれ週1回。学校別講習は夏季と直前の大手へ2校分だけ通うことにしたそうです。
当然ですが、模試は全部で13回ほど受けたとか。
試験傾向が異なる学校を受けると、大忙しですね。
■B子ちゃんの場合
「雙葉か白百合、このどちらかにとにかく入ってほしい。とはいえ雙葉関係者に知り合いはいないし、たぶん子供も理系である確率が高いので
白百合が第一志望かしら。我が家は大学受験が必須だから、大学附属は眼中になく
第2志望は実力主義の光塩。
第三志望は女学館。神奈川の横浜雙葉とカリタスも受けておくべきかお悩み中。光塩と重なるかもしれないし倍率を考えると難しそうだけど、4割弱は立教大学より上を目指して大学受験をするという
立教女学院も願書は出します。とはいえもちろん成蹊、いちおう学習院と幼稚舎も出願しますよ。国立の筑波とお茶と竹早も抽選は行くつもり」
女子校がメインでほかは記念受験なら、A子ちゃんよりは余裕がある準備生活を送れるパターンです。
女子校の体操の試験は
リトミックや指示行動がほとんどで、卓越した運動能力の有無を探られるわけではありません。身体が普通に動き、先生にいわれた通りに行動できればいいわけです、基本的には。
絵工作が必ずでるのは女学館くらいしかありません。
どこも
ペーパー重視ですので、全領域を完璧にこなせるように準備することが目標となります。ここ数年、どこもペーパーが簡単になってきたといわれていますが、またいつ難しい問題が復活するかわかりませんから。
行動観察対策は必須ですが、幼稚園で楽しく毎日を送っているようなら学校別講習を受ける程度で十分でしょう。お友達とうまく遊べない内向的な子の場合は、専門の講習を継続して受けた方がいいかもしれません。
ペーパー校を第一志望とする場合、最も気をつけるべきは
母娘関係を良好に保つことです。ママが怒鳴りながらやるようなことになると、試験か近づくにつれ、子供から笑顔が消えてしまいます。円形脱毛症やチックになるお嬢様もいらっしゃいます。自分達だけは絶対に大丈夫、とは誰も言い切れません。
B子ちゃんは3歳になると同時に
バレエのお稽古へ通い出しました。リトミックと指示行動の練習になるうえに、美しい姿勢と立ち姿が身につくということで。ペーパーは年中からママ塾。
大手の教室には新年長から、お勉強(ペーパー)・受験体操・学校別などで週3回ほど通いました。お絵かきはもともと得意なのと、女子校では女学館をのぞけばほとんどでないので、季節講習と学校別でフォロー。さすがにバレエは夏からお休みしましたが。
模試は年中時は2ヶ月に1回、年長では月2ペースとか。
ちなみに第一志望が雙葉となる場合でも、女子校メインで準備をするのならやることは変わりません。第2志望が光塩ではなく立教女学院となってもそれは同じです。ちなみに
横浜雙葉を受ける場合は、お弁当対策が必要です。
国立の2校は抽選に通らなければ試験が受けられません。
一次抽選の倍率が最も低いのは筑波ですが、こちらは運動能力を見られます。真剣ののぞむ場合は、くま歩きやなわとび、かけっこなどをしっかりやってくれる体操教室通いも必要です。お茶や竹早に関しては、なにも準備していなかった子でもあっさり受かったりする試験内容です。
大手の教室に年中から通う場合もありますが、これは好き好きでしょう。
多くの経験者は、
大手は新年長からで十分、といいますから。